大雪山国立公園

旭岳ビジターセンター多言語展示ガイダンス

大町 桂月 1869-1925

詩人・紀行作家の大町桂月は北海道各地を旅し、登山をしています。1923(大正12)年に掲載された『層雲峡より大雪山へ』(中央公論)の冒頭には「富士山に登って、山岳の高さを語れ。大雪山に登って、山岳の大(おおい)さを語れ」という名文があります。羽衣の滝では、天の川が落ちてくるような羽衣の滝の美しさを詩に詠み、李白の『望廬山瀑布』に重ねて「疑是銀河落九天」と結んでいます。

戸川 幸夫 1912-2004

動物文学の第一人者である戸川幸夫の代表作『牙王物語』は大雪山を舞台とし、オオカミと犬の血が混じった「キバ」が主人公です。1956(昭和31)年12月から1年間にわたって毎日新聞夕刊で連載されました。後には漫画化もされ、文学と劇画で当時の天人峡など、大雪山の魅力を全国に発信しました。2018(平成30)年には、新装復刻版が刊行されています。また、1965(昭和40)年には、後に国の特別天然記念物となるイリオモテヤマネコを発見したことでも有名です。

「天人峡温泉の開湯と発展」 松山多米蔵・佐藤門治

1897(明治30)年、旭川で旅館を営む松山多米蔵が、アイヌの案内で忠別川上流を探索していた際、まだ名もない温泉湧出を発見しました。3年後の1900(明治33)年に「松山温泉(現在の天人峡温泉)」を興した松山は、開湯の祖と呼ばれています。1941(昭和16)年に佐藤門治が「大雪荘(元の松山温泉)」を買い取り、天人峡温泉株式会社を設立し、一帯の開発が加速していきました。